退去費用の明細に「鍵交換費用」が入っていて、「鍵はなくしていないのに、なぜ?」と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。
この記事では、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」の考え方をもとに、鍵交換費用の負担について整理します。
原則:紛失・破損がなければ貸主の負担
ガイドラインでは、鍵の取替えについて、破損や鍵の紛失がない場合は貸主の負担とされています。
次の入居者を迎えるための鍵交換は、防犯上の目的で貸主が行うものであり、賃貸物件の管理上の問題として、原則は貸主の負担と整理されています。
つまり、鍵を紛失も破損もせずに返却したのであれば、鍵交換費用が請求されている理由を確認する余地があります。
紛失・破損した場合は借主の負担
一方、賃借人の不注意で鍵を紛失した場合や、破損させた場合は、賃借人の負担とされています。
このとき重要なのが、鍵の紛失・破損については経過年数を考慮しないという点です。クロスや設備のように「〇年住んだから負担が減る」という計算にはならず、シリンダー交換にかかった実費を負担するという考え方になります。
「長く住んだから鍵代も安くなるはず」とはならない、という点は押さえておく必要があります。
特約がある場合
契約書に「退去時の鍵交換費用は借主負担とする」といった特約が設けられていることもあります。
このような特約は、一定の要件(特約の必要性と合理的理由があること、賃借人がその義務を認識していること、賃借人が義務を負担する意思表示をしていること)を満たす場合に有効と判断され得ます。
一方で、消費者契約法10条により、賃借人の利益を一方的に害する内容の場合は無効となる可能性もあります。金額が明示されているか、契約時に説明を受けたかといった点が確認のポイントになります。
請求書が届いたら確認したい3つのポイント
- 鍵を紛失・破損していないか — していなければ、原則は貸主の負担と整理される可能性があります
- 契約書に特約があるか — 「鍵交換費用は借主負担」といった記載の有無を確認します
- 金額が実費として妥当か — シリンダー交換の一般的な費用と比べて、著しく高額でないか
まとめ
鍵交換費用は「紛失・破損があれば借主負担、なければ原則は貸主負担」というのが基本的な考え方です。ただし契約書に特約がある場合は、扱いが変わる可能性があります。
請求書に鍵交換費用が入っていた場合は、まず自分が鍵を紛失・破損していないかを整理し、次に契約書の特約を確認する、という順番で見ていくと判断しやすくなります。
よくある質問
Q. 鍵をなくしていないのに鍵交換費用を請求されました。
A. 破損や紛失がない場合の鍵の取替えは、原則として貸主の負担とされています。契約書に特約がないかを確認したうえで、請求の理由を確認する余地があります。
Q. 10年住んでいたら、鍵交換費用も安くなりますか?
A. 鍵の紛失・破損については経過年数を考慮しないという考え方が示されています。クロス等と異なり、居住年数によって負担が減る計算にはならず、実費の負担となる可能性があります。
Q. 契約書に鍵交換費用の特約がありました。
A. 特約は一定の要件を満たす場合に有効と判断され得ます。金額が明示されているか、契約時に説明を受けたかといった点が確認のポイントになります。